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『TRICKラストステージ考察』~上田次郎は何を待っていたのか~

上田次郎は何を待っていたのか。里見さんの言うように「奈緒子の声を聞き届けてくれる霊能力者を探している説」もあると思うんですけど、私は奈緒子本人を待っていたんじゃないかなと思っているのでまとめてみます。

懲りずに霊能力者に挑戦状を突き付ける上田

上田次郎、バカではないので、奈緒子の声が聞きたかったのならば世界中を飛び回って本当の霊能力者を探すと思うんですよね。上田のIFである鈴木(劇場版3)と同じように。でもそんなことはせずに、あの日奈緒子と出会った日の状況を再現しようとする。

 

嚙み合わない会話

考えすぎと言えばそれまでなんですが、研究室での上田と里見さんの会話、微妙にかみ合ってない気がするんですよね。

霊能力者を探しているんでしょう?という問いかけに対して一番適切な答えは「連絡を取ると言われたものですから」なはずなのに、ご飯を食べさせることを強調するんですよね。「もう死んでいる人に死ぬほどというのも…」と言っているところを見るに、そういう矛盾点を指摘できるくらいには上田は冷静なのに、上田の話は終始「連絡が取れたら」という前提ではなく「奈緒子に会えたら」前提で進んでいる。願望ではあるけれど、上田はやっぱり奈緒子本人をずっと待っていたんじゃないかなと思います。

カテゴライズできなかったもの

上田の論文

 上田が受賞した論文のタイトル、『不思議現象の発現メカニズム 意識レベルの階層構造』なんですけど、奈緒子の能力を科学で証明した可能性があるなと思っています。上田はいつも「霊能力なんてないんだ、科学で証明できるんだ」として奈緒子をつなぎとめていたわけだけれど、今回の洞窟では奈緒子の持っている力(無意識のうちに危険信号を感じる力)そのものは科学で証明できなかったんですよね。覚悟を決めていたとはいえ、その力を持っていたことが奈緒子の背中を押してしまった。特殊な能力ではなく、証明可能な力なんだと論文を書いたうえで奈緒子を待とうとしていたのかもしれない。想像でしかないけれど、そうだったらいいなと思います。

 リセットとしてのラスステ

ラスステのパンフの監督インタビューで、「ラストステージでリセットしてまた始まる」っておっしゃっているんですけど、上田は奈緒子を覚えているからこそのちょっとした違いが大好きなんですよ。

厳密に言えばS1の上田は偽霊能力者に辟易していて奈緒子の手品を見破ろうとしていたわけではないですが、視線の違いは演出上狙ったものでしょうから、上田の奈緒子に対する愛と製作陣の二人に対する愛を感じます。

 

以上、感想を掻い摘んで書いた形にはなりましたが、一応現時点でのラスステ考察はこんな感じです。新作スペシャルや他の劇場版も感想を書きたいなと思っていますので、その時にはまた覗いていただけると嬉しいです。